胃と腸ノート
腎不全と血中ガストリン
三輪 剛
1
,
谷 礼夫
1
,
阿部 薫
2
1東海大学医学部内科
2国立がんセンター
pp.1622
発行日 1975年12月25日
Published Date 1975/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403112118
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腎不全の患者に何らかの抗潰瘍治療を行なわなければならないことは,いまや周知のことである.ClendinnenやNewtonらがガストリンが破壊される主要臓器は腎であろうと提唱してから腎不全患者における血中ガストリンレベルや胃酸分泌や消化性潰瘍に関する興味が高まった.
Kormanらは血漿クレアチニン3.0mg/dl以上の重症腎不全患者において空腹時血中ガストリンレベルが著明に高値を示し,腎機能と胃機能との関係を十分に示唆したのである.腎不全のために透析を行なっている患者についてはその前後の血中ガストリンレベルに著変はなく恐らく透析膜をガストリンは通過しないのであろうと推定した.そして,重症腎不全例においては,その原疾患とかかわりあいもなく空腹時血中ガストリンレベルは高いという結論に達した.
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