短報
体験:ベーチェット病に合併した回盲部潰瘍の寛解例
小林 世美
1
1愛知県がんセンター第1内科
pp.1207
発行日 1973年9月25日
Published Date 1973/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403108550
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昭和44年以来,アフタ性口内炎,眼症状,陰部潰瘍をくり返しているベーチェット病患者に回盲部潰瘍の発生をみ,内科的治療で寛解後2年有余を経過した症例を経験した.
症例は35歳女子.主訴は回盲部腫瘤,某医で大腸癌を疑われて昭和46年1月27日来院.既往歴として,昭和44年10月,ベーチェット病の診断をうけている.回盲部に約3×3cm大の比較的軟い圧痛のある円形の腫瘤あり.大腸X線検査で,回盲部に潰瘍を伴った腫瘤状陰影あり,ベーチェット病に合併する回盲部潰瘍病変と診断し,患者の希望により経過観察を行なった.3月8日よりサラゾピリン投与開始.同月24日には腫瘤は消失した.5月20日のX線検査で潰瘍は見当らず,治療を終了.1年半後の47年7月の検査でも,再発を認めなかった.以後も自覚的,他覚的に異常を認めず,本年6月現在異常はない.
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