今月の症例
Ⅱa集簇型早期大腸癌の1例
多田 正大
1
,
清水 誠治
1
,
伊志嶺 玄公
2
Masahiro Tada
1
1京都第一赤十字病院第2内科
2京都第一赤十字病院外科
pp.940-942
発行日 1988年9月25日
Published Date 1988/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403108515
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
〔症例の概要〕患者は43歳,主婦.主訴は肛門出血.現病歴として2か月前から排便時に新鮮血の排泄を認めるようになり来院した.
〔注腸X線所見〕直腸にⅡa様の比較的平坦な
隆起性病変が指摘された.少し第2斜位をかけて撮影すると,腸壁に一側変形があることがわかる(Fig. 1).また,隆起部は細かな顆粒状の病変が集簇したような形を呈しており,隆起の一部は更に大きく突出している.この病変部を正面視しようと試みたが,S状結腸や回腸終末部と重なり,病変部の正確な把握が困難であった.そこで患者の体位はそのままで,X線を35°の斜めから照射すると病変部の正面像の描出が可能となった(Fig. 2).隆起の辺縁部の境界は一部で不明瞭であるが,中心に陥凹を思わせる所見はなかった.
Copyright © 1988, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.