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編集後記
川井 啓市
pp.100
発行日 1973年1月25日
Published Date 1973/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403108354
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急性胃病変といった概念は未だ確定したものではない.たぶん原因の複雑さは別にして,臨床的に急激に発症する胃病変と理解してよいのであろうが,これを成書の中に探しても見つけ出すことは難かしい.甚だpopularでありながら,なおざりにされていたものである.このような概念が比較的明確にされてきたのは,最近のように救急時と言わないまでも,疾患の発症時に直ちにX線検査,ないし内視鏡検査を行なえるだけの器種の進歩と,これを駆使できる医師が,一般臨床の場で定着するようになったことによる.
勿論,急性胃病変が胃に限定したものと捉えるには問題があろうが,いずれにしろ「主題」の中で盛られた並木の精神的ストレスと潰瘍の発生,大沼らの出血性びらんは日本においてこそ診断され,その病像ないし病理所見と臨床像の結びつきが非常にクリアカットに証明されて来た新しい分野だと言えよう.
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