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放射線医学は現代医学の全領域に必須の学問であり,これを1冊の本にまとめることは極めて困難なことであるが,昭和57年に有水,高島両教授の編集でうまくまとめられたのが本書の初版である.その第一版の序文では“国家試験に合格してから研修医に至るまで手放せない教科書”を基本方針の第一に挙げている.第5版にもこの方針が貫かれており,研修医はもちろん,実地医家や放射線専門医でも知識のrefreshや整理のためにも役だつように編纂されている.特に基本的事項,重点項目が十分に把握できるよう配慮されている.また,本書の内容が陳腐化することなく放射線医学の最新の進歩に追髄し,第一線の専門家によって執筆されているが,最新情報を網羅するために執筆者の入れ替えが行われ,今回は新たに16名の執筆者が加わっている.
本書の内容は放射線診断,診断手技を応用した治療法,放射線治療,防護と管理に大別され,更に放射線診断は診断総論・画像検査総論と画像診断各論に分けられている.今回から,放射線医学の中で重要な位置を占めつつあるinterventional radiologyについても,1つの章として独立させて内容の充実が図られている.総論では,digital radiographyや磁気共鳴検査についてもかなり詳細に記述してあり,各論でみる画像は臨床の場での画像診断に役だつ.また,画像診断各論では,国家試験のガイドラインに沿って編集がなされており,各検査法別に編成されている.更に,用いられる頻度順に検査法を配列し,総合画像診断を念頭に置いた新しい工夫がなされている.各項末尾には,鑑別診断と記憶・整理に役だつように疾患の各検査法別の特徴的所見が“疾患別異常所見のまとめ”として一覧表にまとめられ,充実が図られている.また,重要な画像診断サインには,写真と説明ばかりでなくシェーマが付けられており,理解を助ける工夫がされている.
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