学会印象記
第22回日本消化器病学会,第18回日本消化器内視鏡学会 合同秋季大会,第18回日本胃集団検診学会
竹本 忠良
1
,
宮治 眞
2
1山口大学医学部第1内科
2名古屋市立大学医学部第1内科
pp.102-104
発行日 1981年1月25日
Published Date 1981/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403107907
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福岡空港を飛び立ったジェット機DC-9が,雲間から桜島の噴煙をみて,台地にある鹿児島空港に接近すると,いつも心のなかにジンとするような情感がわき起こってくる.一体,鹿児島にはなんど行ったのだろう.そのたびに味わう心のときめきといったものが不思議でならない.
広辞苑の「薩摩」の項をみても,そこには薩摩揚,薩摩糸雛,薩摩芋,薩摩炒,薩摩馬,薩摩絣,薩摩潟,薩摩ガラス,薩摩菊,薩摩櫛,薩摩黒,薩摩下駄,薩摩拳,薩摩国分,薩摩暦,薩摩辞書,薩摩上布,薩摩汁,薩摩杉,薩摩煙草,薩摩人形,薩摩守,薩摩の瀬戸,薩摩隼人,薩摩版,薩摩飛脚,薩摩琵琶,薩摩節,薩摩者,薩摩物,薩摩焼,薩摩蠟濁と,九州地方南部の一国の名前を冠した言葉が,じつに32も載っている.詳しく調べたわけではないが,こんなに数多くの幕藩時代の言葉が受け継がれていて,辞書にも載っている国は,おそらくほかにはないだろう.鹿児島空港に近づくと,うんざりするほど広辞苑から引用した「薩摩」という言葉が語るような,薩摩藩の歩み続けた特異な歴史への思いが,感動をおぼえさせるのである.
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