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書評「グラント解剖学図譜」
寺田 春水
1
1北里大学
pp.1682
発行日 1978年12月25日
Published Date 1978/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403107576
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グラントの「解剖学図譜」といえば,J.C.B. Grantの有名な3部作,すなわち図譜(An Atlas of Anatomy),教科書(Method of Anatomy)および実習書(Dissector)の核心をなす名著である.ドイツ系の解剖図譜と比べてはるかに実用向きにできており,それはアメリカの医学生の9割以上がグラントの図譜を用いて解剖学実習を行なっていることでもわかる.実習の順序に従った局所的な配列をとりながら,内容はいわゆる局所解剖図譜とは全く異なり,系統解剖学的な図やグラント独特の模式図とか変異・破格を示す図が局所ごとにたくみに配置されている.また各図には適切な註のほかに,観察すべき事項に関する説明文がついているのも特徴といえよう.
この「グラント解剖学図譜」第6版の日本語版が森田 茂・楠 豊和教授の共訳で出版された.訳文はおおむね正確で,こなれた日本文になっている.また訳者の細かな配慮が各所に行き届いている.例えば各図の引出線のタカリの解剖学名は日本名(細丸ゴシック体)と英語名(ボールド体)が見やすく併記されている.説明文の活字は註が9ポイント,観察事項が8ポイントに統一されている.英文索引の後ろにある和文索引は引きやすい完備した形になっている.
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