書評
グラント解剖学図譜 第8版
荒川 高光
1
1神戸大学大学院・リハビリテーション科学・解剖学
pp.227
発行日 2023年2月25日
Published Date 2023/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408202568
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解剖学を学ぶための書籍には,教科書的な書籍とともに図譜の書籍(いわゆるアトラス,実物写真などを含む)が存在する.解剖学をしっかり学びたい人にとっては,1冊で全てを網羅してほしいというのが本音であろうが,人体のしくみを1冊に収めるとなるとその書籍のボリュームは手に取れる常識的なサイズではなくなってしまう(古くなるが,第38版の“Gray's Anatomy”のボリュームを見てほしい).
解剖学の図譜には手書きのイラストが多く,写真だけで構成されているものは少ない.写真で伝える解剖学的情報は説得力が大であることは言うまでもない.しかし,実物標本の写真化には,標本の作製に関する倫理的問題があるほか,三次元で存在する実体を写真にする際に,どうしても見せられない部分が出てくる.手書きの図譜は,読者の理解を助けるために写真に写らないところを表したり,着色したり,許される範囲でデフォルメすることが可能である.その反面,手書きの図譜で問題となるのは「実物との違い」である.
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