今月の症例
Ⅱc+Ⅲ型早期胃癌の1例
小山田 直朗
1
,
磯村 政保
1
,
細井 董三
1
Naoaki Oyamada
1
1東京都がん検診センター
pp.628-630
発行日 1992年6月25日
Published Date 1992/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403106885
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〔患者〕40歳,男性.主訴および現病歴:1か月ほど前から心窩部痛が出現したため1989年5月胃集団検診を受診し,前庭部の異常を指摘され精査を目的に当センターを受診した.
〔胃X線所見〕第1斜位の背臥位二重造影像(Fig. 1)で胃角部小彎にやや線状のニッシェが描出されている.このニッシェは輪郭は比較的平滑で,辺縁に不整な隆起もなく,また,ひだの先端にやせや中断などもみられず,悪性を示唆する所見は特にないように見える.しかし圧迫像(Fig. 2)ではニッシェの小彎側と後壁側に尻尾のような淡い陰影が認められ,Ⅱc性変化の存在を疑わせる.更にこれを背臥位二重造影の振り分け像(Fig. 3)でみると,ニッシェの周囲に不整形の淡い陰影斑が,また集中するひだの先端に肥大と虫食い像が証明されている.この像があれば,Ⅱc+Ⅲ型早期癌の診断は可能である.
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