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書評「膵管像からみた膵疾患の臨床と病理」
松野 正紀
1
1東北大学第1外科
pp.420
発行日 1992年4月25日
Published Date 1992/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403106785
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最近の画像診断技術の進歩には目をみはるものがある.ボディイメージングという比較的侵襲の少ない診断法にその成果をみることができるが,膵の微小病変の診断には何と言っても膵管造影が切り札となる.ERCPが開発されてから,既に20年以上経過した.開発当初,きれいに造影された膵管像を初めて見せられたとき,「これで小膵癌がどんどん見つかる」と期待したのは筆者ばかりではないと思う.しかし,現実はそれほど甘くはなく,小膵癌の診断には四苦八苦しているのが現状である.その原因は,多くの場合微細変化の読影に耐える鮮明なERP像が得がたいことにある.
著者の池田靖洋教授は,「内視鏡下留置バルーンカテーテルによる膵管造影―背臥位圧迫撮影法」を開発してERP診断能の向上を目指してきたこの分野のパイオニアである.本書には著者が自らERP検査を行い,あるいは手術を施行した69症例が珠玉のごとく提示されている.
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