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書評「膵管像からみた膵疾患の臨床と病理」
中山 和道
1
1久留米大学第2外科
pp.1184
発行日 1992年10月25日
Published Date 1992/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403110004
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これぞ内視鏡的逆行性膵管造影(ERP),という書である.内視鏡的逆行性膵胆管造影法(ERCP)が開発されて20年以上経過したが,これほど読影可能な鮮明なERP像として膵管の微細な変化を描出してある,芸術品とも言える写真を数多く収載した書を,未だかつて見たことがない.
超音波検査,CT,MRI,血管造影などの画像診断が進歩した現状においても,膵の微小病変の診断には膵管造影は不可欠であり,これらの診断には分枝膵管を微細に描出しなければならない.分枝膵管をきれいに造影せんがために,不用意に圧をかけて造影を行うと,急性膵炎を併発する危険性があり,実際に重篤な合併症が散見されている.著者はERPの診断能向上,合併症防止の目的で「内視鏡下留置バルーンカテーテルによる膵管造影一背臥位圧迫撮影法」を開発しており,その詳細も第5項目「ERCPの実際」として詳しく述べられている.著者の方法では,合併症はほとんど見られず,ファイバースコープに邪魔されることなく,適度の圧迫や体位変換で,摘出標本造影に匹敵する鮮明な膵管像が臨床的に描出可能となった.
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