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書評「肝臓病」
奥田 邦雄
1
1千葉大学
pp.732
発行日 1973年6月25日
Published Date 1973/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403108531
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今回医学書院から高橋忠雄・織田敏次両氏の編集になる「肝臓病」なる書物が出版された.この書は,序にも説明されているように1964年同じく医学書院から出版された「肝臓」の第2版に当るもので,当時の「肝臓」は同じく高橋忠雄教授らの編集になる肝臓の基礎的な面と臨床的な面の両分野を1冊に包含した書で,その頃のその方面の本邦の権威者の分担執筆によってでき上ったものであった.
日進月歩の肝臓病学も,α-Feto-protein,次いでオーストラリア抗原の発見までは,刮目するほどの進歩が見られずやや遅滞していたようにも思われたが,昨今このような免疫学的なmethodologyと知見の進歩と相まって,肝臓病の領域でもとみに研究が活溌となってきたことは読者とともに同慶に存ずる次第である.そのような進歩にともなって初版の内容が古くなったので,改版を基礎領域と臨床領域とに分けて分冊して行ったということである.すなわち基礎的な分野は昨年2月同じく医学書院より「肝臓一構造・機能・病態生理」の第2版として高橋忠雄監修,三浦義彰・斎藤守・織田敏次編集で出版されたが,今回のものはそれよりも更に大きな分担執筆に成る肝臓病学の臨床を纒めた書物である.執筆者は44名で,いずれも第一線で活躍中の専門家であり,それぞれの得意の領域を分担しておられる.
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