Japanese
English
症例からみた読影と診断の基礎
【Case 16】
Introductory Course for Practical Diagnosis〔Case 16〕
磨伊 正義
1
Masayoshi Mai
1
1金沢大学がん研究所外科
pp.1628-1632
発行日 1997年11月25日
Published Date 1997/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403105251
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〔患 者〕68歳,女性.1年前から時々心窩部痛を認め,検査のため来院した.
読影と解説
最終診断:類似IIb型早期胃癌.深達度m,11×6cm.
1.症例
近年多数の早期胃癌が手術されているが,その中には肉眼的に識別されたIIcまたはIIaの範囲よりはるかに広範囲に浸潤している粘膜癌,すなわち随伴IIbの症例にしばしば遭遇する.これは直接手術に携わる外科医にとって切除範囲決定に当たって慎重を要する.本例もその1例であるが,注意深い読影によってある程度まで診断が可能である.まず背臥位正面二重造影像(Fig. 1,4)では胃体上部小彎から胃角部にかけて小彎の辺縁不整所見と胃体下部小彎への粘膜ひだの集中を読み取る必要がある.Fig. 2,5の軽い第1斜位では集中する粘膜ひだが途中で途絶えていること,浅い陥凹面は胃小区が消失し,広い範囲で淡いバリウム斑で覆われている.Fig. 8で示す切除胃レントゲノグラムではこの所見がより明瞭となり,癌巣部に一致して胃小区間溝の破壊に伴うアレアの不鮮明化と,のっぺりしたバリウムの付着が特徴的である.更に癌巣部と非癌部境界は拡大することによってより明瞭となる.
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