［Case 16］発熱と胸痛 -年齢を問わず見落とせない疾患

Case summary

　78歳男性．主訴は発熱，乾性咳嗽，左側胸部痛．X−2年に腎硬化症による慢性腎不全と診断され当院腎臓内科に通院していた．X年1月に38℃の発熱および胸部CT検査で心囊水と左胸水貯留が認められ，細菌性胸膜炎の診断にて同科に入院のうえ，抗菌薬（sulbactam/ampicillin 3g/日）を投与された．その後，解熱し心囊水や左胸水も軽減したため退院したが，同年3月に38℃の発熱と乾性咳嗽，左側胸部痛が出現したため，精査加療目的に当科に入院した．71歳時に高血圧症，75歳時に慢性腎不全（腎硬化症）の既往歴あり．家族歴は母に心筋梗塞，長男に小児喘息あり．18～60歳まで製造業（自動車部品製造）に従事し，60歳以降は無職．粉塵吸入歴はなし．喫煙はex-smoker（20～75歳：10本/日，27.5 pack year），飲酒はなし．

　身長161cm，体重59.6kg，意識清明，体温37.5℃，血圧121/74mmHg，脈拍102回/分，SpO₂ 92％（酸素2L/分吸入下）．頭頸部・腹部に特記すべき異常所見なし．左下肺野で胸膜摩擦音を聴取．ばち指なし．浮腫なし．関節疼痛や腫脹なし．神経学的異常所見なし．四肢や体幹部に皮疹なし．