Japanese
English
症例からみた読影と診断の基礎
【Case 10】
Introductory Course for Practical Diagnosis〔Case 10〕
渕上 忠彦
1
,
田畑 寿彦
1
Tadahiko Fuchigami
1
1松山赤十字病院消化器科
pp.1226-1229
発行日 1997年8月25日
Published Date 1997/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403105034
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〔患者〕46歳,男性.主訴:腹部膨満感,全身倦怠感.
読影と解説
最終診断:穿通性胃潰瘍,Ul-IV消化性潰瘍
1.X線所見
充盈像(Fig. 1a)は,体部小彎側が半球状に突出し,幽門前庭部小彎側が消失し奇妙な形態を呈している.腹臥位二重造影像(Fig. 1b)は体部小彎側に巨大な卵円形のバリウムの溜まりを認め,その肛門側に向かって前庭部が引きつけられている.第1斜位二重造影像(Fig. 1c)では卵円形の巨大潰瘍が正面像として描出されている.潰瘍辺縁は極めて鮮鋭で周囲に周堤もしくはIIcを疑わせる陥凹はない.充盈像の小彎側の突出は巨大なニッシェであることがわかる.強い第1斜位二重造影像(Fig. 1d)では,潰瘍の肛側辺縁に接する部から線状にバリウムが十二指腸球部から第2部へと流出しており,いわゆる囊状胃の形態であることが読める.後壁側の潰瘍辺縁は極めて鮮鋭で,粘膜集中像の先端に悪性所見は認められない.
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