学会印象記
5th United European Gastroenterology Week (UEGW '96)
樫田 博史
1
1神戸市立中央市民病院消化器内科
pp.83-84
発行日 1997年1月25日
Published Date 1997/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403104956
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第5回UEGWは,1996年11月2~6日の5日間にわたってR. Lambert会長の指揮のもと,パリの副都心Défence地区のPalais de la Défence(CNIT)と呼ばれるコンベンションセンターで盛大に執り行われた.あいにく,時折激しい雨に見舞われる悪天候であったが,会場は熱気に満ちていた.連日,朝8時半から夜7時まで討議が続き,演題数も1,600以上に及んだため,とても全部には参加できなかったが,筆者が見聞した範囲で感想を述べたい.
初日は,ESGE Postgraduate Courseの一貫であるlive demonstrationで幕を開けた.オーガナイザーはJ.F. Reyで,ニース郊外の彼の所属病院Institute A. Tzanckから学会場へ衛星中継が行われた.演者には,日本人にも馴染みの深いドイツのT. Röschら,世界の新進気鋭の内視鏡医が集まった.わが国から山梨医科大第1内科の藤野雅之教授もコメンテーターを務められていた.食道静脈瘤結紮術,総胆管結石砕石,直腸癌のレーザー治療など,多彩な内容で,約800人の聴衆や座長から多くの質問が飛び交っていた.秋田日赤胃腸センターの工藤進英先先は,拡大内視鏡や色素撒布を用いた大腸検査の実際を供覧されたが,多発大腸ポリープの症例において,隆起型のポリープに混じって小さな陥凹型の腫瘍を発見し,その病変をEMRされた.表面型の大腸腫瘍を見たことがないヨーロッパ人には驚きであったようで,会場にはどよめきの声がわき起こった.
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