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書評「Q&A腹腔鏡下胆囊摘出術―こんな時どうする?」
藤川 貴久
1
1天理よろづ相談所病院・腹部一般外科
pp.48
発行日 1997年1月25日
Published Date 1997/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403104950
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本書の頁をめくってみて最初に思ったのは,“読みやすい”ということであった.本書が完成する以前に,偶然にも本書の原稿に目を通す機会を得たが,そのときに想像したイメージより,更に親しみやすく,利用しやすいとの印象を受けた.質疑応答形式にしたことに加え,サイズがA5判とコンパクトなこと,図を豊富に用いながら1つのQ&Aを見開き2頁に収めて見やすくしていることなどが,全体としてよくみせている理由かもしれない.しかし,内容はというと,よくあるマニュアル本と違い,もっと実践に即したプラクティカルな内容を詳しくかつ丁寧に述べている.随所に“キラリ”と光るちょっとした手技や道具の工夫がちりばめられている.
本書はいわゆる手術書ではない.よって手術の手順や実際に使う道具を知らなければ,本書を読んでも全然イメージがわかず,したがっておもしろくないかもしれない.しかし,実際に腹腔鏡下胆囊摘出の手術を1度でも執刀した経験のある医師には,特に後半の手技編や器械編の内容は興味深いものとなるであろう.例えば,胆囊管のclippingを行うときに周囲結合織などでclipをかけられる幅が狭いときなどに用いているSemi-closed clipping methodはちょっとしたことであるが,なかなか有用な方法と言える.
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