特集 図説 形態用語の使い方・使われ方
第Ⅱ部 検査手技・所見等の用語
b.X線・内視鏡所見用語
標的徴候(target sign)
児嶋 弘泰
1
,
牛尾 恭輔
1
1国立がんセンター中央病院放射線診断部
pp.390
発行日 1996年2月26日
Published Date 1996/2/26
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403104062
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標的とは,矢などを打つ目印や的を意味するもので,消化管のX線写真で,同心円状の所見がみられた場合,標的徴候と呼ばれる.この徴候は,胃・大腸の有茎性ポリープの所見として主に使われてきたが,そのほか無茎性ポリープ,あるいは胃の転移性悪性腫瘍の所見として標的徴候も,しばしば使われている.
胃・大腸の有茎性ポリープは,X線の照射方向によって種々の像を示す.特に有茎性ポリープを長軸方向に平行に真正面から見た場合,同心円上に二重の輪状影として認められることが多く,これを標的徴候(target sign)と呼ばれる.この場合,中心の小さいほうの輪状影は茎の,外側の大きいほうの輪状影はポリープの輪郭を示している.Fig. 1は大腸の有茎性ポリープの側面像(a)と正面像(b,c:標的徴候)を示したものである.このX線における有茎性ポリープの標的徴候は,Youker JEらが1971年の「Radiology」に紹介している.
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