特集 図説 形態用語の使い方・使われ方
第Ⅱ部 検査手技・所見等の用語
b.X線・内視鏡所見用語
白苔(Belag)
中野 浩
1
1藤田保健衛生大学消化器内科
pp.383
発行日 1996年2月26日
Published Date 1996/2/26
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403104055
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胃・十二指腸潰瘍の潰瘍底を覆う白色の付着物質で,通常“ベラーク”と呼び慣れている(Fig. 1).胃・十二指腸のみならず食道・小腸・大腸の潰瘍底にも認められる.また,潰瘍底のみならずびらん面にも認められ,良性の潰瘍,びらん面だけではなくⅡC型早期癌の陥凹面,また汚いという修飾語が付くが進行癌のクラーテルの底部にも認められる.そして,悪性リンパ腫の潰瘍,びらん面にはクリーム状と言われる滲み出るような黄色を帯びた白苔がみられる.
典型的な白苔は胃・十二指腸潰瘍の底に,それも少し治癒過程に入った時点でみられる純白の付着物である.この白さは体内で内視鏡を通じて見たもので,手術材料では黄色で混濁している.そして,この白苔は胃・十二指腸潰瘍の治癒とともに底の部分を覆いながら縮小し,白苔の消失は潰瘍の治癒を意味する(Fig. 2).病理組織学に白苔はAskanazyの潰瘍底の4層構造中の滲出層,壊死層に由来するものと思われるが詳しくは検討されていない.
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