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B. Young,J. W. Heath著・山田英智監訳の「機能を中心とした図説組織学」に改訂第4版が出た.この本は図説とあり,原著にもText and Colour Atlasとあるように単なる図譜ではなく,光学顕微鏡写真,電子顕微鏡写真および理解を助ける模式図にはそれぞれ要を得た適切な長さの説明がついている.また各章の始めにはその章の内容の理解に必要な事項の説明があり,細部にとらわれて全体を見失わないための配慮もなされている.そしてさらには“機能を中心とした”とあるように各部位の解説も形態のみの説明だけではなく,機能から構造を理解させようという試みが随所に盛られている.この本が今回改訂になって大きく変わった点はまず,判型がB5からA4判へと大きくなったことである.これによりページにゆとりができ,見出しも網掛けや線で囲むなどの工夫がなされ,大変見やすくなっている.加えて,説明文中のキーワードが太字に変わり,ある術語を索引から検索する場合にも短時間で探し当てることが可能となった.さらには模式図がカラー化されて一段と理解しやすくなり,また組織切片だけではわかりづらいところには新たに概念図を挿入したり,まとめの表を追加するなど,種々の学習者の理解を助ける手だてが加わっている.
第一部“細胞”の章では総合的理解のため,以前章末にあった光学顕微鏡写真を電子顕微鏡写真と組み合わせて配置しているほか,アポトーシスの機構など新たな分野の解説も取り入れている.このような学問の進歩も進んで取り入れる姿勢はこの種の本としては頻繁な改訂(原著で6~8年ごと)に現れている.もともとこの本は組織学を機能とからめて楽しく理解できるようにとの意図の元に書かれた本であるが,今回の改訂で学習者にとりさらに使いやすい本となっている.
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