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編集後記
飯田 三雄
pp.1454
発行日 2001年10月25日
Published Date 2001/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403103353
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通常,癌は深部浸潤とともに大きさを増すため,10mm以下の比較的小さな状態でsm massive以深に浸潤することはそれほど多くはないが,このような病変の発見は大腸癌の予後向上のため,また大腸癌の発育経過を考えるうえで極めて重要である.そこで本号は,sm massive以深に浸潤した10mm以下の大腸癌の臨床病理学的特徴,診断,治療法に焦点をあてて企画された.掲載された10の主題論文の結論を要約すると,①リンパ節転移率は11mm以上のsm massive癌と同程度である(味岡論文)が,組織学的な悪性度は高く(石黒論文),分子病理学的な性質も異なる(藤井論文);②X線描出率は比較的良好であり,深達度診断上有用なX線所見として側面変形と中心性陥凹の有無・性状が重要である(藤谷論文,松本論文);③内視鏡上sm massiveを示唆する所見として,緊満感,内視鏡的硬さ,表面不整・粗糙所見,陥凹の存在・深さ・不整凹凸などが挙げられるが,拡大内視鏡観察によるⅢs型およびⅤ型pitの診断が重要である(為我井論文,永田論文);④超音波内視鏡による深達度診断正診率は75~100%と比較的良好である(菊池論文,松永論文);⑤11mm以上のsm massive以深癌と同様の治療法が選択されるべきであり,早期癌であれば腹腔鏡手術が第一選択である(山本論文),となる.
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