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編集後記
飯田 三雄
pp.706
発行日 1999年4月25日
Published Date 1999/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403103051
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大腸腫瘍に対する内視鏡的治療の普及とともに,治療後の局所再発や転移が問題となっている.そこで,本誌では2号にわたって内視鏡的治療後の再発・転移についての問題が取り上げられることになった.まず,本号は,大腸腺腫・m癌に対象を絞って,内視鏡的摘除後における局所再発の実態と対策について第一線で活躍中の経験豊富な専門家に執筆していただいた.
その要点は,①局所再発のリスクは,径20~30mm以上の病変(特に結節集簇様病変),分割切除(特に3分割以上)で高くなる(小林ら,太田ら),②分割切除後の穿通・穿孔例は局所再発の要因となりうる(趙ら),③根治度判定は,摘除標本の実体顕微鏡観察と組織学的検索,摘除後の内視鏡・生検による経過観察によって行う(藤田ら,工藤ら),④比較的大きな病変や分割切除となった病変に対しては,治療直後に通常および拡大内視鏡を用いて切除局所を十分に観察する(工藤ら,寺井ら),⑤局所再発は治療後約1年程度で発見されるものが多く,大部分は内視鏡的治療で対処可能な病変である(五十嵐ら),などである.更に今回執筆された他の専門家の根治度判定についての見解もほぼ類似したものであった.
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