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編集後記
飯田 三雄
pp.936
発行日 1998年5月25日
Published Date 1998/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403103737
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鋸歯状腺腫(serrated adenoma;SA)は,1990年Longacre TAとFenoglio-Preiser CMによって提唱された新しい疾患概念であるが,われわれ臨床医にとってはつい最近まであまりなじみのない名称であった.筆者自身,これまで日常の内視鏡検査で一見絨毛腫瘍に類似した表面構造を有する隆起で生検はGroup 1という病変に何度か遭遇したことがあったが,今振り返ってみるとこのような病変こそSAの典型例であったと考えられる.本号は,いまだ確立したとは言い難いSAの病理組織診断の現状と問題点を明らかにし,典型例の臨床診断がどこまで可能かを探る目的で企画された.
本号では,①SAの組織診断基準は各病理医問でそれほど大きくは違っていないこと,②発生頻度は全大腸腫瘍の1~2%であり,最近増加傾向にあること,③SAの組織学的鑑別にCEA,p53,Ki-67などの免疫染色が有用であること,④担癌率は通常腺腫と同じかむしろ低いこと,⑤大部分は隆起性病変として発見され,遠位大腸に好発し,特徴的な表面構造を有すること,などが示された.
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