海外だより
Oxford大学留学記(2)
松井 敏幸
1
1福岡大学筑紫病院消化器科
pp.562
発行日 1999年3月25日
Published Date 1999/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403103015
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inflammatory bowel disease(IBD)に関する研究では,Oxford大学は高いレベルの研究成績を発表し続けている.1996年に,世界に先駆けてIBDのsusceptibility genesのlocusを発見した研究は記憶に新しい.その後も更に詳細に染色体上のlocusを特定する研究が行われている.また,IBDを亜分類し,病態と病因の違いを遺伝子学的に探求する努力も続けられている.わが国にはほとんどないceliac病と潰瘍性大腸炎術後のpauchitisについても,臨床研究が行われている.
Oxford大学におけるIBDに関する臨床は,Dr. Jewellの前任者である有名なDr. Sidney Trueloveが基礎を築いた.1950年代から,彼は炎症性腸疾患診療のパイオニアとして診療体系の教科書的な骨格を形づくった.すなわち,IBDのnatural historyを記述し,治療手順を完成(steroid剤の注腸治療を考案,steroid剤の静注療法,いわゆる強力静注療法を考案)し,更にSASP剤から5-ASA剤への転換を考案した.その臨床の伝統のためか,Oxford大学を訪れるIBD患者の数は非常に多い.
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