海外だより
Oxford大学留学記(1)
松井 敏幸
1
1福岡大学筑紫病院消化器科
pp.76
発行日 1999年1月25日
Published Date 1999/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403102930
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inflammatory bowel disease(IBD)の診療分野のみならず臨床的研究でも世界的に有名な,Oxford大学のDr Jewellのもとに短期(3か月間)留学した.旧知の仲であったため,非常に丁寧に欧米流の診療を解説していただいた.わが国とは医療事情が多少異なるものの理論的かつむだのないcompactな診療に感心することも多く,その一部を紹介させていただく.
Dr Jewellの属するJohn Radcliffe(JR)病院の沿革を紹介する.Oxford大学は20あまりのcollegeから成り,更にcollegeからは独立した幾つかの病院(すべて国立National Health Service,NHSに属する)が関連病院として存在する.この病院で診療が行われ,更にOxford大学の学生臨床教育と臨床研究が行われている.John Radcliffe(JR-Ⅰ)病院は,その名を冠した国王の侍医の寄進によって約200年前に設立された伝統を誇る病院である.市の中心に位置し,古典的外観を有し,古いcollegeの建物に隣接している,現在では,診療の中心は,市の郊外に位置する第2病院JR-Ⅱに移った.JR-ⅡはJR-Ⅰとは異なり巨大な近代的病院である.消化器科の医師たちは,診療をJR-Ⅱで週に3.5日行い,研究は古典的構えのJR-Ⅰで2.5日行っている.Oxfordにはほかに大きな内科系の病院があり,更に整形外科,精神科の単科病院がある.さすがに著明な大学だけに各診療科には日本や旧英国連邦からの留学生,更に欧州各国からの見学も多い.
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