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リフレッシュ講座 病理検査手技の基本・3
胃生検組織診断におけるGroup分類の運用
Refresher Course
中村 恭一
1
Kyoichi Nakamura
1
1東京医科歯科大学医学部病理学講座
pp.1170-1182
発行日 1999年8月25日
Published Date 1999/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403102807
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はじめに
1950年前半,胃カメラ,X線二重造影法,集団検診の導入により早期胃癌症例の発見数が増加するようになり,1964年にはファイバースコープ直視下胃生検による早期胃癌の組織診断がなされるようになった.それとともに異型上皮から成る限局性病変から生検組織が採取されることが多くなり,異型上皮と癌との組織学的鑑別診断が問題となった.一方では早期胃癌の発見がまだ一般的ではなく,早期胃癌の病理組織診断経験に乏しい病理医が情報量の少ない小さな生検組織を診断していたがために,早期癌でありながら生検組織で癌と診断されない症例が増加しはじめた.このように早期胃癌の診断が普及しつつある時代においては,この異型上皮と早期癌との病理組織学的鑑別診断の問題を解決することが強く要請され,胃癌研究会で胃癌生検組織診断のための基準づくりがなされた.これがGroup分類を提唱するようになった時代背景と動機である.
1971年に提唱された胃癌取扱い規約の胃生検組織診断基準(Group分類)の緒言に,“本分類の目的は,日常の臨床検査において,直視下生検法によって得られた胃粘膜小片の組織学的所見を簡潔な方法で表現しようとするものである.この分類はその主眼を癌か否かの鑑別に置いており,胃癌またはそれと類似の変化を示す境界領域の病変の群別が中心となっている.”とGroup分類の目的が明記されていて,この原則は現在に至っても変わりはない.
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