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書評「内科医のためのうつ病診療(第2版)」
松村 真司
1
1松村医院
pp.830
発行日 2009年4月25日
Published Date 2009/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403101661
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当院には時に医学生や研修医が診療所実習に訪れる.実習が終わった後には必ず,彼らが実習中に受けた印象を聞くことにしている.患者との距離の近さを挙げる学生がもちろん多いが,それとともに「診療所には精神面の問題をもつ人がこんなに多いと思わなかった」との印象を述べる実習生が多い.不安障害,認知症などとともに,身体的愁訴が前景に立ったうつ病患者は本当に数多い.最近ではうつ病に関する啓発も増え,患者自らが「自分はうつ病ではないか」と考えて訪れる患者も多くなってきている.
著者自身も記しているが,認知症,高血圧,糖尿病などと並び,うつ病は疾患の罹患率とその症状の多彩さ,そのアウトカムの重大さから考えると,専門家のみですべてに対応することは現実的ではない.著者によると,内科医のうつ病診療のレベルが期待された水準にないことが,本書のような啓発書を書くきっかけだったとのことである.確かに,これほどありふれた疾患であるにもかかわらず,卒前・卒後における研修機会は十分とはいえない.精神科医に相談をすることも,地域に出てしまうとなかなか容易ではない.また,地域によっては精神科医の診察のアクセスが悪い場合もあり,その場合には好むと好まざるとに関わらず,非精神科医が治療の相当の部分まで担当せざるを得ない場合もある.できれば専門医に診療してもらいたいと思いながらも,薄氷を踏む思いで診療をしている非専門医はかなりの数に上るのではないだろうか.
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