Japanese
English
今月の主題 食道m3・sm癌の最新の診断と治療戦略
序説
食道m3・sm癌の最新の診断と治療戦略
Introduction
幕内 博康
1
Hiroyasu Makuuchi
1
1東海大学医学部外科
キーワード:
食道表在癌
,
深達度診断
,
リンパ節転移診断
,
内視鏡治療
,
化学・放射線治療
Keyword:
食道表在癌
,
深達度診断
,
リンパ節転移診断
,
内視鏡治療
,
化学・放射線治療
pp.1357-1358
発行日 2006年9月25日
Published Date 2006/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403100650
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はじめに
食道癌では,粘膜癌(m癌)と粘膜下層癌(sm癌)とでは著しく病態が異なる.m癌ではリンパ節転移を有する症例は極めて少ないが,sm癌となると急激にリンパ節転移を有するものが増加する.深達度亜分類別に検討すると,粘膜上皮や粘膜固有層にとどまるm1・m2癌ではまずリンパ節転移を有するものはない.粘膜筋板や粘膜下層に浸潤するm3・sm1癌では10~15%の症例にリンパ節転移が認められ,粘膜下層中層以深のsm2・sm3癌では40~50%の症例がリンパ節転移を有している.すなわち,m1・m2癌,m3・sm1癌,sm2・sm3癌の3群では治療方針を変える必要がある1).すなわち,リンパ節転移診断が極めて重要であるが,最新の診断とは何であろうか.どれほどの進歩を示しているのか興味のあるところである.
さて,その診断に基づいて治療戦略が立てられ,治療が行われる.治療の主体は外科的根治術であると思われるが,内視鏡的粘膜切除術(endoscopic mucosal resection ; EMR)に加えて内視鏡的粘膜下層剝離術(endoscopic submucosal dissection ; ESD)が開発された2).EMR・ESD後に化学療法や放射線療法,あるいは化学・放射線療法(chemoradiotherapy ; CRT)を加える向きも少なくないが効果はどうか.sentinel nodeの概念は生きてくるのか.切除可能食道癌に対してCRTだけで,すなわちsalvage surgeryなど外科医の力に頼らずどのくらいの患者を治癒させうるのか,などが明らかにされることを期待する.
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