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今月の主題 通常内視鏡による大腸sm癌の深達度診断 垂直侵潤距離1,000μm術前診断の現状
症例検討
大腸sm癌深達度診断の現状―前向き検討―集計結果の病理組織学的考察
Current Clinical Diagnosis of the Invasion Depth of Colorectal Submucosal Cancer―Prospective Study: Analysis of the Result: From the Viewpoint of Histopathogy
味岡 洋一
1
Yoichi Ajioka
1
1新潟大学大学院医歯学総合研究科分子・診断病理学分野
pp.1250-1256
発行日 2006年8月25日
Published Date 2006/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403100641
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はじめに
内視鏡的摘除大腸sm癌が根治と判定されるためには,“sm垂直浸潤距離1,000μm未満”が必要条件となる.本号の主題は,内視鏡による“垂直浸潤距離1,000μm”の診断精度の現状,診断に有用な内視鏡所見,診断上の問題点,を明らかにすることである.そのためのアプローチとして,複数の施設の,ベテランおよび若手消化管医師の内視鏡深達度診断能と,それぞれが診断に用いた内視鏡所見,の比較・分析が企画された.
筆者に与えられた課題は,ベテランと若手とで診断が乖離した症例に,どのような病理組織学的特徴があるかを明らかにすることであった.しかし診断結果を集計した斉藤論文で述べられているように,両者間で診断に有意な乖離はなく,golden standardたるべきベテランの正診率も決して高いものではなかった.その原因として,(斉藤論文でも触れているように)検討対象とされた症例に何らかの偏りが存在していた可能性が否定できない.したがって本稿では,まず検討症例の病理組織学的特徴を解析した.次にベテランの読影内視鏡所見および内視鏡診断と病理組織所見との対比を行うことで,診断に有用であった内視鏡所見や内視鏡正診例および困難例の病理組織学的特徴を分析し,最後にそれらの結果を踏まえ,垂直浸潤距離内視鏡診断のポイントと問題点について考察した.なお,病理組織所見の検索は,症例提供施設からお送りいただいたHE標本ルーペ像および中拡大像の写真を用いて行った.
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