増刊号 これだけは知っておきたい検査のポイント 第5集
免疫学的検査
感染症関連検査
ウイルス抗原・抗体検査
A型肝炎ウイルス抗原・抗体
佐田 通夫
1
,
谷川 久一
1
1久留米大学医学部第2内科
pp.522-523
発行日 1994年10月30日
Published Date 1994/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402909926
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検査の目的・意義
A型肝炎ウイルス(HAV)は,遺伝子レベルでの解析結果から7種類の遺伝子型が明らかにされた.血清型は今のところ1種類のみである.わが国では,上下水道をはじめとした衛生環境の改善や衛生指導が進んだことによって,A型肝炎の大流行をみることはなくなった.ただ散発性のA型急性肝炎はここ数年増加の傾向にあり,散発性急性肝炎患者の50〜60%を占めている.最近のA型肝炎の特徴として罹患年齢の上昇と,それに伴う重症例の増加があげられる.また,不活化A型肝炎ワクチンも完成し,もうすぐ第一線の場で使用可能な状況になっており,感染の拡大防止にワクチンを使用する機会が多くなるものと考えられる.そこで,A型肝炎の診断や予防対策を立てるうえで,あるいは汚染源,汚染物の同定においてHAV抗体やHAV関連抗原測定の意義などを十分に理解しておく必要があろう.
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