増刊号 図解 診療基本手技 第2集
基本的な臨床検査と画像診断法
腹部X線写真
永田 博司
1
1東京都済生会中央病院・内科
pp.139-143
発行日 1992年10月30日
Published Date 1992/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402909670
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●撮影方法
1)ルーチン撮影
背臥位正面像(半切)と立位正面像(半切)を撮る.背臥位像のほうが情報量が多く,臓器,腫瘤,石灰化像の位置と大きさ,ガス像の分布を推定するのに有用である.立位は液面像(niveau)と横隔膜下のfree air(遊離ガス像)を描出するのに適している.しかし,立位では腸管は一塊となって骨盤内に下垂し,臓器の輪郭を追うことは困難である.腸閉塞の場合,立位では液体が下垂した腸係蹄に流入するため,閉塞部位を同定するのには腹臥位の写真のほうが診断的価値がある.
2)消化管穿孔の疑い 横隔膜下のfree airを証明するには,腹部正面像のほうがより適している.患者が重症で立位をとれないときは左側臥位で撮る.この体位ではガス像が均質な肝右葉に接して映るので,診断しやすい.小穿孔では5分間ほど,立位あるいは左側臥位を維持した後に撮影すればfalse negativeを減らせる.
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