内科医のためのリスクマネジメント—医事紛争からのフィードバック・2
診療録(カルテ)の重要性
長野 展久
1,2
1東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科司法医学
2東京海上メディカルサービス
pp.894-897
発行日 2002年5月10日
Published Date 2002/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402908719
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診療録の位置づけ
診療録の記載方法については,医学生時代に内科総論でPOMR(problem oriented medical record)を体系学的に学び,研修医として勤務する頃からSOAP(主観的所見・客観的所見・評価・計画)に沿った記載方法を用いている場合が多いと思います.ところが,訴訟へと発展するケースの診療録は往々にして,メモ書きのような記載で字が汚くて判読できないとか,あるいは肝心なことが記載されていないために「粗診粗療ではないか」と判断されがちです.そのために医師の立場からみるときわめて不当な判決へと至ることがあります.
それでは,どのような診療録にすれば過不足なく質の高い医療を行っていると判断されるのか,という点については,各大学,各診療科,出身医局などによってもさまざまな意見があり,なかなか統一するのは難しいと思います.そこでご参考までに,米国のある研修病院におけるガイドラインを紹介しますと,この施設では,「history」,「examination」,「medical decision making」の3つを最低限の記載項目と定め,さらに同僚医師による診療録の評価(peer review)も取り入れています.
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