増刊号 CT・MRIアトラス—正常解剖と読影のポイント
腹部
各論
後腹膜
山田 隆之
1
,
石橋 忠司
1
1東北大学医学部放射線診断科
pp.291-297
発行日 2001年10月30日
Published Date 2001/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402908404
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正常解剖
解剖学(図1〜5)
後腹膜腔は,背側の壁側腹膜と腹横筋膜との間に囲まれるスペースで,前腎傍腔,腎周囲腔,後腎傍腔に分けられる(図1).前腎傍腔は,背側の壁側腹膜と前腎筋膜の間に広がる腔であり,外側はlateroconal fasciaで境界されている.前腎筋膜と後腎筋膜は,上方で強く癒合している(図2).しかし,時に前腎筋膜が腎上極レベルで欠損していることがあり,腎周囲腔の病変が肝臓のbare areaに進展することがいわれている.後腎傍腔は後腎筋膜から腹横筋膜に広がるスペースである.薄い脂肪層からなり,連続的にlaterocomal fasciaの外側を回り,腹壁の腹膜腹側の脂肪組織にまで連続している.また,後腎傍腔は横隔膜下の腹膜外脂肪層に連続している.前腎傍腔と後腎傍腔は,前腎筋膜と後腎筋膜の円錐状構造の下方を介し連続性があるが(図2),下方ではlateroconal fasciaもなく,外方を介した連続性も認められる.
前腎傍腔には膵臓,球部以外の十二指腸,上行・下行結腸が含まれる.腎周囲腔には,副腎や腎臓周囲の脂肪が含まれる.
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