今月の主題 内科医ができる癌患者への対応
血液学的異常への対応
慢性DICの発見と治療
村田 満
1
1慶應義塾大学医学部内科
pp.1475-1477
発行日 2001年9月10日
Published Date 2001/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402908284
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ポイント
慢性DICの発見は,①臨床症状(出血症状や血栓症状)と,②検査値,からの場合があるが,一般には後者が多い.
慢性DICでは症状や検査値に時間的な変動があり,増悪期が過ぎると血小板数や凝固因子が代償され,正常値を呈することがある.
DICにおける検査値の異常には,血栓形成により上昇するマーカー(SFMC,D-ダイマー,トロンビンーアンチトロンビンIII複合体,プラスミン-α2プラスミンインヒビター複合体など)と,消費性凝固障害の結果として起こる異常(血小板減少,フィブリノゲン低下,プロトロンビン時間の延長など)があるが,前者がより鋭敏である.癌患者でDICが疑われる場合には,FDPなど,DICで普遍的に上昇するマーカーをまず調べるべきである.
DICの治療の原則は,その基礎疾患の治療を行うことであり,原因を除去することのみで対応できることもある.しかし,病態が進み,微小血栓による臓器症状や出血症状が明らかになったときは,その病態に応じて補充療法や抗凝固療法が必要となる.
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