“One More Step”
正常所見で確認を
茅野 千春
1
1県立木曽病院
pp.184
発行日 2000年10月30日
Published Date 2000/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402907728
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エコー検査は手軽にできて侵襲もあまりなく大変便利なのですが,アーチファクト(虚像)の問題があって注意が必要です.検査をしたがためにアーチファクトに振り回されてしまうことがあります.心房細動のある患者さんが脳梗塞で入院になると左心系,特に左房内の血栓の有無について心エコー検査で評価して下さいとの依頼がかなりあります.左房の中に血栓があるのではないかなどと先入観を持ってプローブを振りながら検索しているといかにもそれらしいエコー像が見えてきます.慌てて確認のため造影CTをとっても2cmもあるような血栓像は出てきません.虚像の原因は超音波の多重反射という現象にあるそうです.実像なのか虚像なのか判断するのはなかなか難しいことです.特に血栓があってもおかしくないような状況ではなおさらです.多発性に塞栓症状を起こした症例で体表からの検索では分からなかったのですが,経食道心エコー検査で大動脈弁の弁尖の中に血栓ができていて塞栓源となっていたと判明した経験があります.体表から見えなくても血栓がないと言い切れないのに,まして見えているのにアーチファクトだと断定するには勇気がいります.経食道心エコー検査で確認するのが一番でしょうが,全例で行うというのは実際的ではないように思います.
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