“One More Step”
低血糖発作による意識障害で入院されたインスリノーマの1例
小橋 吉博
1
1川崎医科大学附属川崎病院内科
pp.15
発行日 2000年10月30日
Published Date 2000/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402907680
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この症例は,私が研修医2年目に大学病院救急部で経験した1例である.55歳,女性で明らかな既往歴を有しなかったが,意識障害を主訴に救急車で搬送された.通常通り,各種血液検査,頭部CT検査が行われ,その結果をみたところ,脳内には意識障害をきたすような血管性病変がなかったものの,血糖値が30mg/dlと著明に低下していたのみで,他の検査所見には有意な上昇はみられなかった.このため,低血糖による意識障害と診断し,50%ブドウ糖を静注しながら点滴を持続して入院させた.意識が回復したところで,患者さんと話をしていたところ,以前にこういったエピソードもなく,今回が初めてだと言われたため,まず学生時代に学習していたインスリノーマを疑って,腹部超音波検査を自分で試みていたところ,膵臓の付近にあやしい3cm大の腫瘤性病変がみられたため,これによる膵内分泌腫瘍と考えた.その後,自分でも不安なところがあったため,腹部CTをとったところ,膵尾部に3cm大の腫瘤が確認された.
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