今月の主題 「考える」診断学—病歴と診察のEBM
考える診断学の実際
見逃してはならない疾患編
精巣腫瘍を見逃さないために
賀本 敏行
1
,
筧 善行
1
1京都大学大学院医学研究科器官外科学泌尿器病態学
pp.1510-1513
発行日 2000年9月10日
Published Date 2000/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402907627
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精巣腫瘍に対する治療は著しく進歩し,初発時に転移のある症例でも根治に導くことが可能になっている.しかし,だからといって早期発見の重要さが減じたわけではない.病期Iであれば,原発巣(精巣)に対し,高位精巣摘除術を行うだけで治癒しうるし,また進行性精巣腫瘍のなかには,残念ながらいまだ治癒できない症例もある.さらに抗癌化学療法の副作用とリスクを考慮すると,やはり早期に発見することが重要である.また精巣腫瘍の好発年齢が青壮年であり,見逃して救命できなかった場合の社会的損失も大きい.本稿では精巣腫瘍を患者が見過ごす場合,一般医が見逃す場合,泌尿器科専門医が見逃す場合の実例を提示し,それぞれについて述べる.
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