今月の主題 「考える」診断学—病歴と診察のEBM
考える診断学のイントロダクション
病歴と診察所見に基づいた検査の選択・検査結果の解釈
尾藤 誠司
1
1国立病院東京医療センター
pp.1428-1432
発行日 2000年9月10日
Published Date 2000/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402907606
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症例
当院の総合診療科では,卒後教育プログラムのなかで,研修医が初診の外来患者を実際に診療することを行っている.これら症例はすべからく上級医によってレビューされる.この症例は,ある研修医が今年実際に診療した初診の患者である.
60歳,女性.生来健康,52歳時に閉経.前夜8:00頃より左臍下部から左大腿部にかけての軽い鈍痛が始まった.夜中の1:00に便意を自覚しトイレに行き,茶色の下痢便が出た.トイレから立ち上がったときに一瞬気が遠くなりその場に座り込んでしまったが,すぐに良くなったためそのまま就寝.一夜明けてまだ下腹部の違和感が続くために総合内科の外来を受診した.患者は意識清明で,見た感じの全身状態は良好である.めまい,上腹部の痛み,吐き気は認めない.
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