増刊号 これだけは知っておきたい検査のポイント 第6集
腫瘍マーカー
泌尿器系
γ-Sm(γ-セミノプロテイン)
宮原 茂
1
1久留米大学医学部泌尿器科
pp.674-675
発行日 1999年10月30日
Published Date 1999/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402906526
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異常値の出るメカニズムと臨床的意義
γ-lSmの産生部位は前立腺上皮と尿道周囲腺で,前立腺産生物とともに前立腺液として精漿へ分泌されるが,一部が血中に移行している.血中濃度は,前立腺体積に相関したり,前立腺上皮が新生増殖,変性する疾患では上昇する.γ-SmとPSA(prostate-specific antigen)は,当初は分子量の差異,臨床データの違いから別個の物質として評価されたが,アミノ酸配列の決定とプロテアーゼとしての機能が明確となり,同一物質であることが明らかになっている.また,血清酸性ホスファタアーゼ(ACP)は,古くより進行前立腺癌の診断と治療後のマーカーとして用いられてきた.ACPは,前立腺組織以外に肝,腎,脾,血球成分などに含まれているため,前立腺特異分画のみを測定することはできなかったが,前立腺性酸性ホスファタアーゼ(prostatic acid phosphatase:PAP)の測定法が開発され,精度が改善されたため,汎用されている.
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