免疫化学検査法 Ⅱ 測定法の実際
2・腫瘍マーカー
⑦PAP,γ-セミノプロテイン
山内 昭正
1,2
1東京都立荏原病院泌尿器科
2東京医科歯科大学泌尿器科
pp.694-696
発行日 1988年6月15日
Published Date 1988/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543204567
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はじめに
腫瘍マーカーとして知られているものは最近ではかなりの数に上るが,そのうちでも早くから前立腺癌のマーカーとして酸ホスファターゼ(acid phosphatase;ACP)が知られている.
1936年GutmanらがACPが前立腺癌患者では高値であると報告してから,注目を集めた.ACPは前立腺組織中に多量に含まれているとはいえ,血小板,赤血球などいろいろな組織にも含まれている.その後,前立腺由来のACP(prostatic acid phosphatase;PAP)を分けて測定する方向で基質の選択や抑制物質を見つけることにより特異的測定法が発展してきた.しかし,酵素学的に測定しようとする方法enzymeassayは,感度や特異性の点で十分とはいえない.免疫学的な測定法が開発され,使用されるようになった.また,PAP以外の前立腺癌の腫瘍マーカーとして,血中のγ-セミノプロテイン(γ-seminoprotein;γ-Sm)や前立腺特異抗原(PA)などの測定も行われるようになってきた.
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