増刊号 これだけは知っておきたい検査のポイント 第6集
腫瘍マーカー
消化器系
PIVKA-II
田中 直英
1
,
荒川 泰行
1
,
森山 光彦
1
1日本大学医学部第3内科
pp.662-663
発行日 1999年10月30日
Published Date 1999/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402906519
- 有料閲覧
- 文献概要
異常の出るメカニズムと臨床的意義
PIVKA-II(protein induced by vitamin Kabsence or antagonist-II)は,des-γ-carboxyprothrombinともいわれる異常プロトロンビンである.Liebmanら1)により肝細胞癌患者血清に高率に検出されることが報告されて以来,現在でも肝細胞癌に対する腫瘍マーカーとして,AFP(α-fetoprotein)とともに臨床応用されている.
プロトロンビンは,肝臓で合成される凝固因子の一つであり,そのアミノ酸末端付近に10個のγ-カルボキシグルタミン酸(Gla)残基を有しているが,その合成過程において必要とされるvitamin Kがvitamin Kの欠乏や肝障害などにより不足すると,プロトロンビン前駆体のグルタミン酸(Glu)残基がGlaに転換されにくくなり,生理活性を有しない異常プロトロンビンとして血液中に出現してくる.
Copyright © 1999, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.