増刊号 臨床血液検査
II.止血機能検査
2.検査の実際と症例の解釈
2)凝固検査
A.検査法
(8)PIVKA-II
目黒 嵩
1
,
高山 成伸
2
,
山崎 哲
2
1聖マリアンナ医科大学小児科
2聖マリアンナ医科大学病院臨床検査部
pp.224-228
発行日 1991年6月15日
Published Date 1991/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543906520
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はじめに
古くから,新生児が出産2〜4日目頃に突然出血症状をきたすことが知られていた.1976年,Stenfloらは第II因子(F. II:プロトロンビン)のC末端にγ-カルボキシグルタミン酸(Gla)が存在するが,ビタミンKが欠乏するとグルタミン酸(Glu)はGlaにならずPIVKA(protein-induced by vitamin K absence orits antagonist)-IIになることを明らかにした.ビタミンKは,このカルボキシル化反応に必要であり,カルボシキル化酵素(GCase;γ-カルボキシラーゼ)の活性を促す.dicumarolの薬効は,このGCaseの活性を阻害することにより,通常の凝固活性を持たない物質であるPIVKAを血中に出現させるものである.プロトロンビンの場合,1分子中に10個のGlaを持ち,カルシウムイオン(Ca2+)と強い結合を示し,リン脂質の作用を受けて凝固活性を示す.肝ではプロトロンビンの前駆体であるポリペプチドとして合成される.次いで,ビタミンKの存在下で前駆ポリペプチドのグルタミン酸残基(Glu)のγ位の炭素が,GCase作用でカルボキシル化を受けGlaに転換される.筆者の経験では免疫学的に必ずしも同一でなく,二次元免疫電気泳動法によりプロトロンビンとPIVKA-IIを観察した場合,プロトロンビンの沈降線は明瞭であるのに対して,PIVKA-IIの沈降線は不明瞭である.
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