増刊号 これだけは知っておきたい検査のポイント 第6集
腫瘍マーカー
消化器系
シアリルSSEA-1(SLX)
大倉 久直
1,2
1茨城県立中央病院
2茨城県地域がんセンター
pp.658
発行日 1999年10月30日
Published Date 1999/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402906516
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異常値の出るメカニズムと臨床的意義
SLXとは,II型糖鎖3[Galβ1→4GlcNAcβ]1→Cerの基幹部分[ ]が長い繰り返し構造をもつ胎児性抗原SSEA-1(stage specific embryonic antigen 1)のc末端にシアル酸がついた構造(NeuAcα2→n[3Galβ1→4GlcNAcβ(3±1Fucα)]1→Cer)の糖鎖であり,初期胚の8細胞期と胎児肺胞や気管粘膜と,微量には成人腎の近位尿細管と顆粒球にみられる.
癌では肺,胃,大腸,乳腺,膵臓,卵巣などの癌組織で大量に産生され血清中に検出され,これらの癌の診断補助と治療モニターに利用される血清腫瘍マーカーである.本抗原が細胞接着に関与するため,陽性腫瘍は陰性腫瘍よりも遠隔転移率が高く,患者の予後も短いとの報告がある.
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