増刊号 これだけは知っておきたい検査のポイント 第6集
一般検査
尿検査
尿沈渣
矢内 充
1
1日本大学医学部臨床病理学教室
pp.86-90
発行日 1999年10月30日
Published Date 1999/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402906260
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異常値の出るメカニズムと臨床的意義
臨床所見から腎尿路系の疾患を疑うときや,健康診断などによる尿定性検査で何らかの異常がみられたとき,尿沈渣を観察することにより様々な情報が得られることがある.現在,尿沈渣検査の方法は,JCCLS(日本臨床検査標準協議会)により標準法が提唱されている1).その概略を述べると,新鮮尿10mlをスピッツにとり,500G,5分間の遠心後,上清を除去し,残存する沈渣のうち約15μlをスライドグラス上に滴下し鏡検するということである.鏡検の際には無染色で観察する場合と,Sternheimer染色などの生体染色を行う場合がある.
尿沈渣には様々な有形成分が観察されるが,大きく分類して,循環血液由来の血球成分,剥離した腎尿路系の上皮細胞,腎の尿細管・集合管で形成された円柱類,尿路感染に伴う微生物類,代謝産物に由来する結晶成分・塩類が含まれる.実際に検査室では,30種以上に及ぶ沈渣成分を分類している(表1,図1)が,常に病的意義をもつものではなく,量的,質的な解釈が必要である.
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