今月の主題 慢性呼吸不全に必要な基礎知識
呼吸不全とはいかなる病態か?—知っておくべき病態生理
低O2血症・高CO2血症の他臓器への影響
楊 観虎
1,2
,
栂 博久
1
1金沢医科大学呼吸器内科
2中国温州医学院
pp.906-907
発行日 1999年6月10日
Published Date 1999/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402906052
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- 文献概要
●低O2血症では皮膚,内臓の血管は収縮し,脳血管,冠動脈は拡張する.低酸素性肺血管攣縮のため肺血管抵抗は上昇し,長期になれば肺性心(右心不全)に陥りやすい.
●高CO2血症を伴う慢性呼吸不全では中枢のCO2レスポンスが低下し,主として低O2血症の刺激により呼吸が維持されている.そのため,不用意に高濃度の酸素吸入を行うといっそう換気が抑制され,ますます高CO2血症が進み,CO22ナルコーシスとなる.
●低02血症による脳障害は高CO2血症によるよりもはるかに重篤で非可逆的であるから,迷うときはPao2を上げることを優先し,CO2ナルコーシスは機械呼吸で対応するべきである.
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