演習 胸部X線写真の読み方—心疾患篇・1【新連載】
心疾患として経過観察中の42歳の男性
大瀧 誠
1
1東海大学医学部放射線科
pp.704-710
発行日 1999年4月10日
Published Date 1999/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402906005
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連載にあたって
心疾患,循環器疾患の胸部単純X線写真の読み方について6カ月の連載を行うことになりました.胸部単純写真の適切な読影は,循環器疾患の診断の第一歩としてたいへん重要です.以下に述べるように,胸部X線写真には多数の利点があります.すなわち,胸部単純写真の撮影は簡便であり,結果は客観的に評価できます.非侵襲的で患者の負担はほとんどなく,繰り返し検査を行えるので経過観察に適しています.さらに循環器疾患にとって大切な循環動態をかなり正確に評価できます.検査の費用対効果比の点からも,複雑で高価な検査とほぼ同等の結果を,単純写真は短時間で費用も少なく診断できます.しかし残念ながら,循環器疾患の画像診断法として単純X線写真,超音波,X線CT,MRI,DSA,核医学検査,心臓カテーテル検査と知らなければならない検査があまりに多くなりすぎて,胸部単純写真は軽視される,あるいは十分活用されない傾向にあります.
一般的にいえば,画像所見は疾患の病理病態を反映しているだけです.ですから画像診断学の基本は,まず正常でない画像所見に気づいて(第1のステップ),どのような病理病態が起きているのかを考えます(第2のステップ).その病態の原因となるいくつかの疾患を鑑別診断として考え(第3のステップ),さらに,鑑別に役立つその他の所見の有無に注目して読影して(第4のステップ),はじめて診断に役立つ画像診断が行えます.
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