今月の主題 検査異常から考える血液疾患
トピックス
造血器腫瘍と幹細胞移植
土肥 博雄
1
1広島赤十字・原爆病院第1内科
pp.653-656
発行日 1999年4月10日
Published Date 1999/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402905996
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●骨髄移植推進財団を介した骨髄移植に関しての研究で,HLA-A,BのDNAレベルの一致,不一致は予後に大きな影響を与えることがわかった.すなわち439例の非血縁者間骨髄移植でHLA-A一致症例は,不一致症例に対して4年後で約20%の生存率の向上をみた.
●同種末梢血幹細胞移植は,G-CSF単独でも十分な幹細胞動員が起こることが判明し,同種での応用がなされるようになった.
●臍帯血幹細胞移植は,臍帯血が増殖力旺盛な幹細胞を多量に含むことから期待された.一方で,生着に時間がかかりすぎるという問題点がある.
●造血細胞移植成績では,成人のAMLに関しては第1寛解期と第2寛解期では差がないが,第3寛解期以後は非寛解期と同じくらいに生存率が落ちている.また,小児のALLでは成人のAMLに似た生存曲線を示し,第1寛解期と第2寛解期では差がなく,第3寛解期以後は極端に成績が落ちている.
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