iatrosの壺
成人水痘肺炎
平良 正昭
1
1沖縄県立宮古病院内科
pp.502
発行日 1996年11月30日
Published Date 1996/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402905755
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症例は26歳男性.発熱とともに顔面より全身に広がる小水泡性の皮疹を認め,救急室に来院.水痘の既往はなく,1歳の息子が約2週間前に水痘に罹患したことより成人水痘と考えた.自宅安静を指示し帰宅させたが,翌日も再来院,全身倦怠感著明なため入院させた.入院時の胸部X線写真では異常を認めなかった.アシクロビル250mg1日3回点滴静注にて治療を開始したが,39℃台の発熱が持続した.入院第3病日,急に呼吸困難とチアノーゼが出現.胸部X線写真にて両側肺野にびまん性の小粒状影を認めた.動脈血ガス検査ではPaO238.4mmHgと著明な低酸素血症をきたし,人工呼吸管理を要した.アシクロビル500mg1日3回点滴静注に増量し,7日間投与した.第8病日より解熱傾向になりX線写真上も粒状影消失したため,第10病日に人工呼吸器より離脱,皮疹も痂皮形成傾向となった.退院後の胸部X線写真像はほぼ正常化し,皮疹も瘢痕治癒した.水痘ウイルスに対する血清抗体価の有意な上昇,胸部X線写真におけるびまん性の小粒状陰影より水痘肺炎と診断した.
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