増刊号 Common Drugs 350の投与戦略
感染症治療薬
抗ウイルス薬
ゾビラックス(住友—ウエルカム)
谷 憲三朗
1
1東京大学医科学研究所内科
pp.501-502
発行日 1996年11月30日
Published Date 1996/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402905754
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臨床薬理
●作用機序:アシクロビル(9—{〔2—ヒドロキシエトキシ〕メチル}グアニン)はグアノシンの非環状誘導体である.ウイルス特異的チミジンキナーゼの作用により,主にウイルス感染細胞でアシクロビル1リン酸に変換され,さらに細胞内酵素によりアシクロビル3リン酸になり,その後ウイルスDNAポリメラーゼに結合し,ウイルスDNA鎖の合成を停止させる.アシクロビルはウイルス感染細胞に選択的に取り込まれるため,細胞内でのアシクロビル3リン酸の濃度は,非感染細胞の40〜100倍になる.さらに,アシクロビル3リン酸はウイルスDNAポリメラーゼに対して,細胞DNAポリメラーゼよりも10〜30倍の親和性をもっている.以上の理由から,宿主の正常細胞に対しては極めて低毒性でありながら,抗ウイルス活性が得られることになる.抗ウイルス活性は,I型単純ヘルペス(HSV−1),II型単純ヘルペス(HSV−2),帯状疱疹ウイルス(VZV),EBウイルス,サイトメガロウイルスの順に高い.
●血中濃度モニタリング:アシクロビルは全般的に安全な薬剤であり,血中濃度のモニターなどは通常不要である.
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