今月の主題 炎症性腸疾患治療のジャイアント・ステップス
特殊治療の理論的背景と将来展望
新しい免疫療法
日比 紀文
1,2
,
岡本 晋
3
,
中澤 敦
3
1慶應義塾大学医学部内科
2慶應がんセンター
3慶應義塾大学医学部消化器内科
pp.1538-1540
発行日 1996年8月10日
Published Date 1996/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402905231
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ポイント
●現在使用されている6-MPやシクロスポリンなどの免疫抑制剤は,リンパ球全体に対し抑制的に働くものが多く,全身の免疫能の低下が問題となる.
●このため,作用の対象をリンパ球の特定のサブセット,例えばヘルパーT細胞やそれらが産生するサイトカインなどに絞った,新しい免疫抑制療法の開発が試みられている.
●ヘルパーT細胞を標的とするものとしては,クローン病における腸管粘膜内活性化CD4陽性細胞に対する抗CD4抗体やCD4 analogueがある.
●サイトカインを対象とするものとしては,炎症性サイトカインの抑制剤投与と炎症抑制性サイトカインの投与の2通りの方法があるが,なかでも,抗TNF-α抗体はクローン病に対する新しい治療法として注目されている.
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